L1の場合
既存の Avalanche L1 では、Etna 以前のバリデータを L1 専用バリデータに変換する必要はなく、これまでどおり動作し続けます。
すべての L1 は、作成方法や作成時期に関係なく、Avalanche Warp Messaging (Avalanche ICM) と Teleporter (Avalanche ICM 契約) を使用して相互運用できます。
ACP-131:Ethereum上のCancunアップデート時に実装されるEIPに対応
CチェーンとEVM系のAvalanche L1上で以下のEIPに対応できるようにする。
対応EIP
・EIP-4844
・EIP-7516
・EIP-11
・EIP-5656
・EIP-6780
利点:EIP4844のBLOBトランザクションは有効化されずBLOB問題が発生しない
欠点:なし
ACP-20:Avalanche ネットワーク クライアントのノードIDにEd25519公開鍵をサポート
RSAとECDSAのみの署名アルゴリズムにEd25519署名アルゴリズムを追加
利点:公開鍵、秘密鍵、署名のサイズが非常に小さい、より高速でセキュアな署名方法(署名の際に乱数を必要としない)
欠点:なし
ACP-103:XチェーンとPチェーンに動的手数料の追加
これまでそれほどX、Pチェーンの利用量が多くなかったので、これらのチェーンの手数料はそれほど問題視されていなかった
利点:高負荷時のネットワークの安定、最新の動的手数料の仕組みを採用(HyperSDKの手数料メカニズム)
欠点:なし
ACP-125:Avalanche上の最小Base Feeの引き下げ
取引を行う際に必要となるガス代の最小Base Fee(基本手数料)を25nAVAXから1nAVAXに引き下げる
利点:ガス代の軽減
欠点:特になし(もともとBase Feeはバーンされていたので、バリデーターにもデメリットがない)
BLS マルチ署名 (Boneh-Lynn-Shacham) は、複数の当事者がメッセージに署名し、その署名を 1 つのコンパクトな署名にまとめることができる暗号化技術です。これにより、署名の全体的なサイズが縮小され、検証の効率が向上します。BLS 署名は、元のメッセージの整合性を維持し、すべての署名者が検証されていることを確認しながら、複数の検証者または参加者の署名を 1 つに集約できるため、スケーラビリティとセキュリティを向上させるためにブロックチェーン システムでよく使用されます。 ってことらしい
Читать полностью…AWMはSubnet同士の相互運用を実現する通信規格で、BLS署名の集約署名をP-Chainを介して検証することで、ブリッジやオラクル、その他第三者が提供するサービスに依存することなく通信できる
Читать полностью…「サブネットバリデータセット管理のP-Chainからサブネットへの移行」によって、一見P-Chainの負担が減りそうですが、Avalancheネットワーク全体のスケーラビリティ向上に繋がる理由は、主に以下の3点です。
プライマリーネットワークの処理能力向上
現状では、サブネットバリデータもプライマリーネットワーク(特にC-Chain)のトランザクション検証に参加しています。
今回の提案により、サブネットバリデータはP-Chainのみを検証すればよくなり、C-Chainへの負荷が軽減されます。
結果として、C-Chainのトランザクション処理能力が向上し、より多くのトランザクションを処理できるようになります。
サブネットの処理能力向上
サブネットバリデータは、プライマリーネットワークの検証から解放されることで、より多くのリソースをサブネットの処理に割くことができます。
これにより、各サブネットのトランザクション処理能力が向上し、より多くのユーザーやアプリケーションをサポートできるようになります。
ネットワーク全体の処理分散
サブネットバリデータセット管理の移管により、バリデータの役割や負荷がプライマリーネットワークとサブネットの間で分散されます。
特定のチェーンに負荷が集中することを避け、ネットワーク全体の処理能力を効率的に活用できるようになり、結果としてスケーラビリティ向上に繋がります。
つまり、今回の提案は、P-Chainの負担を減らすだけでなく、 Avalancheネットワーク全体のリソース配分を最適化し、各チェーンの処理能力を高めることで、全体的なスケーラビリティ向上を実現する ことを目指しています。
「サブネットバリデータセット管理のP-Chainからサブネットへの移行」は、これまでP-Chainが担っていたサブネットのバリデータ管理を、各サブネット自身に移管することを意味します。これは、サブネットにより高い自由度と柔軟性を与えるための重要な変更です。
具体的には、以下の3つの要素が含まれます。
1. 独自のステーキング要件の設定
現状: サブネットバリデータになるためには、P-Chain上でAVAXをステーキングする必要があり、その要件はP-Chainによって一律に定められています。
提案: 各サブネットが、独自のステーキング要件(必要なステーキング量、ロックアップ期間など)を設定できるように変更されます。
例えば、特定のトークンの保有量や、サブネットへの貢献度などをステーキング要件とすることも可能になります。
2. 報酬システムのカスタマイズ
現状: サブネットバリデータへの報酬は、P-Chain上でAVAXで支払われ、その報酬額はP-Chainによって決められています。
提案: 各サブネットが、独自の報酬システム(報酬額、報酬支払い頻度、報酬対象となる行動など)を設計できるようになります。
例えば、サブネットの成長に貢献したバリデータに対して、より多くの報酬を分配する仕組みなどを実装できます。
3. ステーキング資産の多様化
現状: サブネットバリデータになるためには、P-Chain上でAVAXをステーキングする必要があり、他の資産をステーキングすることはできません。
提案: 各サブネットが、ERC-20、ERC-721、または独自のトークンなど、任意の資産をステーキングに利用できるように変更されます。
例えば、特定のNFTをステーキングすることで、サブネットのバリデータになることができるといった仕組みも可能になります。
これらの変更により、サブネット作成者は、それぞれのニーズや目的に最適な形でバリデータセットを管理し、より魅力的な報酬システムを設計できるようになります。これは、開発者がより革新的で多様なサブネットを構築することを促進し、Avalancheエコシステム全体の成長を加速させることが期待されます。
ACP-118:VMに依存しないWarpメッセージング
好きなVMでAvalanche L1を作成できるAvalancheで、VMに依存しない方法でL1間のパーミッションレスメッセージングを行えるようになる。
利点:高速で安全なAvalnache L1間の通信(ブリッジなども可能)
欠点:なし
ACP-20: AvalancheネットワーククライアントのノードIDにEd25519公開鍵をサポート - より小さく、速く、安全な署名アルゴリズムへ
Avalancheネットワークでは、各ノードは一意のノードID を持ちます。このノードIDは、ネットワーク上でのノードの識別に使用され、現在RSAとECDSAという2つの署名アルゴリズムによって生成された公開鍵をサポートしています。
ACP-20 は、このノードIDの生成にEd25519署名アルゴリズムを追加することを提案するものです。
Ed25519とは?
Ed25519は、楕円曲線暗号に基づく公開鍵署名アルゴリズムの一つです。RSAやECDSAと比較して、以下の利点があります。
安全性: サイドチャネル攻撃に対して、より耐性が高いと考えられています。
高速性: 署名生成と検証が高速で、特に署名生成時に乱数を必要としないため、効率性に優れています。
コンパクトさ: 公開鍵、秘密鍵、署名のサイズがRSAやECDSAよりも小さく、帯域幅やストレージ容量を節約できます。
ACP-20採用によるメリット
セキュリティ強化: より安全性の高いEd25519をサポートすることで、Avalancheネットワーク全体のセキュリティレベルが向上します。
パフォーマンス向上: より高速な署名アルゴリズムを使用することで、ネットワーク全体の処理速度が向上し、スケーラビリティ向上にも貢献します。
効率性向上: よりコンパクトな鍵と署名を使用することで、ネットワークの帯域幅使用量を削減し、ストレージ容量も節約できます。
将来性: Ed25519は、今後ますます多くのアプリケーションで採用が進むと予想される、将来性の高い署名アルゴリズムです。
欠点
Ed25519は、RSAやECDSAと比較して、まだ新しい技術であるため、実績や認知度という点では劣ります。しかし、安全性、速度、コンパクトさなどの利点から、多くの専門家から高く評価されており、今後広く普及していくことが予想されます。
まとめ
ACP-20は、Avalancheネットワークのセキュリティ、パフォーマンス、効率性を向上させるための重要なアップデートです。Ed25519の採用により、Avalancheはより安全で高速、そしてスケーラブルなブロックチェーンプラットフォームへと進化することができます。
ACP-113:乱数生成器がAvananche L1にも適用
これまで、Avlaanche L1には乱数生成器の利用が制限されていたため、スマートコントラクトやこれまでのサブネット開発者にとって障壁となっていた。
利点:スマコンやAvalanche L1の開発柔軟性の向上
欠点:なし(乱数生成の安全性は別問題とする)
これは、現状のAvalancheの仕組みにおいて、C-Chainのオープンな性質が、規制対象となる事業者にとって、サブネット立ち上げの妨げになっているという問題点を指摘しています。
もう少し詳しく説明すると:
Avalancheのサブネット: 独自のルールやバリデータを持つ、いわば「カスタマイズされたブロックチェーン」を作成できます。
C-Chain: Avalancheの主要チェーンの一つで、スマートコントラクト機能を持ち、誰でも自由にDAppsなどを構築・利用できます。 オープンでパーミッションレス な点が特徴です。
プライマリーネットワークのバリデータ: C-Chainを含むAvalanche全体を保護するバリデータは、C-Chainのトランザクションも検証する必要があります。
ここで問題となるのは、規制対象の事業者(例:金融機関)の場合です。
彼らは、顧客資産保護などの観点から、厳格なコンプライアンス要件を満たす必要があります。
C-Chainはオープンであるがゆえに、これらの要件を満たせないケースがあり、規制対象の事業者がC-Chainバリデータになることは難しい場合があります。
つまり、現状のAvalancheでは、「たとえ独自のサブネットを作成する場合でも、プライマリーネットワークバリデータの要件を満たす必要があるため、C-Chainの検証から逃れることができず、結果的に規制対象事業者はサブネットを立ち上げられない」 というジレンマが存在します。
この問題を解決するために、今回の提案では、 サブネットバリデータとプライマリーネットワークバリデータを分離 することを提案しています。これにより、規制対象事業者は、C-Chainの検証をせずに、独自の要件に合ったサブネットを作成・運用できるようになり、Avalancheの利用範囲が大きく広がることが期待されます。