M1
M1は、分散型の共有シーケンサーです。M2及びMove Stackによって構築された独自ロールアップで利用されます。集中化された既存のロールアップのシーケンサーと異なり、単一障害点を排除することでネットワークの堅牢性を高める他、トランザクションの順序付けにおける公平性と検閲体制を持ち、誰でも参加することができます。
Movement M1
M1(引用元:What Is Movement?)
また、M1ではマルチアセットステーキングを採用しています。シングルアセットステーキングでは、ステーキングに固有のトークンが必要になりますが、これにはステーキング参加へのハードルがあります。マルチアセットステーキングでは、複数種類のトークンのステーキングを可能にすることで、シングル形式のハードルを取り除きます。
共有シーケンサー:ブロックチェーンの指揮者 Orchester
ブロックチェーンでは、たくさんの人がそれぞれ取引記録を持っていますよね?
でも、バラバラだと困るので、みんなで同じ順番で記録をまとめる必要があります。
この順番を決めるのが共有シーケンサーです。
イメージはオーケストラの指揮者。
演奏者がバラバラに演奏したら台無しですが、指揮者がいることで美しいハーモニーが生まれますよね?
共有シーケンサーも、バラバラの取引記録を正しい順番に並べて、安全で信頼できるブロックチェーンを作り出すために欠かせない存在なんです。
メリット
ブロックチェーンの処理速度とスケーラビリティ(拡張性)が向上する
セキュリティが強化される
デメリット
システムが複雑になる場合がある
シーケンサーに障害が発生すると、ブロックチェーン全体に影響が出る可能性がある
まとめ
共有シーケンサーは、ブロックチェーンの指揮者として、取引記録の順番を決める重要な役割を担っています。
これにより、より高速で安全なブロックチェーンを実現することができます。
Movement(MOVE)の概要
Movement(ムーブメント)は、Movement Labsにより開発されているMove言語を使ったモジュラー型ブロックチェーンです。
Move言語によるアプリケーションを実行するMoveVMは、優れたパフォーマンスを確保する一方で、既存のMoveVMのブロックチェーンでは、TVLや流動性、開発者の活動レベルが十分ではありません。そこで、Movementは、セキュリティが強固で経済圏が大きいEthereumと、先進的なMove言語/MoveVMを統合するための環境を提供することで、Moveコミュニティのさらなる拡大を目指していきます。
Movementは、大きく3つのプロダクトで構成されます。
M1は、分散型の共有シーケンサーで、これまでのレイヤー2における集中化されたシーケンサーのリスクを排除します。
M2は、Movement公式の汎用ロールアップです。Ethereumのレイヤー2として構成されており、SuiやAptosと同様にMoveVMを使ってアプリケーションを動かすことができます。さらに、EVMとの互換性をもつMEVMを導入し、開発者により多くの選択肢を提供します。
また、Move Stackにより、開発者は容易に独自ロールアップを作成することができます。M2もまた、Move Stackにより作成されたロールアップです。Move Stackは、他のロールアップの技術スタックと同様に、シーケンサーやデータ可用性(DA)、決済メカニズムを自由に選択することができます。
Suiネイティブ乱数生成
仕組み: Suiバリデーターが分散キー生成 (DKG) を使用して乱数を生成します。
メリット:
Suiネットワークにネイティブに組み込まれているため、高速かつ効率的です。
追加のインフラストラクチャや外部サービスは必要ありません。
Suiのセキュリティモデルに直接統合されているため、高いセキュリティレベルを提供します。
デメリット:
現在はテストネットでのみ利用可能です。
Chainlink VRFほど広く採用されておらず、実績が少ないです。
Chainlink VRF
仕組み: Chainlinkの分散型オラクルネットワークを使用して、改ざん防止の乱数を生成します。
メリット:
多くのブロックチェーンで利用可能で、幅広い実績があります。
多くの開発者から信頼されており、業界標準として広く認識されています。
さまざまなユースケースに対応できる柔軟性があります。
デメリット:
外部サービスであるため、Suiネイティブ乱数生成よりも速度とコストの面で不利になる可能性があります。
Suiネットワークのセキュリティモデルに直接統合されているわけではありません。
従来のギャンブルプラットフォームの問題点
従来の中央集権型のギャンブルプラットフォームでは、乱数生成がサーバー側で行われるため、運営者が結果を操作する可能性が排除できません。 これは、プレイヤーの不信感を招き、プラットフォームの信頼性を損なう要因となっていました。
オンチェーン乱数生成のメリット
透明性: 乱数生成のプロセスがブロックチェーン上に記録されるため、誰でも検証可能であり、運営者による不正操作を防ぐことができます。
公平性: ブロックチェーンの性質上、オンチェーン乱数は改ざんが困難であり、公平なゲームを実現することができます。
信頼性: プレイヤーは、ゲームの結果が公正であることを信頼できるため、安心してゲームを楽しむことができます。
オンチェーン乱数生成の課題
技術的な難易度: ブロックチェーン上で真の乱数を生成することは技術的に困難であり、特殊な技術や工夫が必要です。
コスト: オンチェーン乱数生成には、通常のトランザクションよりも多くの計算リソースが必要となるため、コストが高くなる場合があります。
速度: オンチェーン乱数生成には、ある程度の時間がかかるため、ゲームの速度が遅くなる可能性があります。
普及状況
これらの課題があるため、オンチェーン乱数生成を採用しているギャンブルプラットフォームはまだ一般的ではありません。 しかし、ブロックチェーン技術の進化や、透明性・公平性に対する需要の高まりにより、今後普及していく可能性は高いと考えられます。
注目すべきプロジェクト
オンチェーン乱数生成を採用しているギャンブルプラットフォームとしては、以下のようなプロジェクトが注目されています。
Chainlink VRF: Chainlink VRFは、外部の安全な乱数生成器を利用して、ブロックチェーン上で検証可能な乱数を生成するサービスです。多くのギャンブルプラットフォームで採用されています。
Randao: Randaoは、ブロックチェーン上で分散型の乱数生成を行うためのプロトコルです。
True Random Number Service (TRNG): 量子コンピューターの技術を利用して真の乱数を生成するサービスです。
Suiの新しい乱数生成機能
分散型乱数生成: 各エポックの開始時に、バリデーターがDKG (Distributed Key Generation) プロトコルを用いて分散キーの秘密共有を生成します。
予測不可能性と偏りのなさ: バリデーターはエポック中に継続的に秘密共有を用いて乱数を生成し、アプリケーションが利用できるようになります。
高速性: 乱数生成はコンセンサスプロセスと並行して動作するため、トランザクションが順序付けられた後、実行前に迅速に乱数値を提供します。
安全性: しきい値暗号とDKGを用いることで、予測不可能性、偏りのなさ、高速性を兼ね備えています。
メリット
真の乱数: 擬似乱数ではなく、暗号学的に安全な真の乱数が生成されます。
検証可能性: 乱数生成のプロセスは透明性が高く、誰でも検証可能です。
高速で効率的: 従来のソリューションよりも高速かつ効率的に乱数を生成できます。
ユースケース
チャンスゲーム: 宝くじ、カードゲーム、ガチャ、ルートボックスなど
ランダムサンプリング: ガバナンス、ランダム監査、紛争解決など
NFT: ランダムな特性を持つNFT、遺伝的特性やランダムな突然変異
コンテストとプレイヤーマッチング: トーナメント、ゲームマッチング、順番決定など
結論
今回のアップデートにより、Suiはより安全で信頼性の高いオンチェーン乱数生成機能を手に入れました。